ノウハウ

最適化AIの進化 :LLMを使用した献立修正

近年、AI技術の進化により、様々な業務の自動化が注目されており、調和技研でも
従業員のシフト作成や、宅配のルート作成など多くの業務自動化に取り組んでいます。

それらの取り組みの一つである給食自動献立作成AIプロジェクト
[参考:https://www.chowagiken.co.jp/case/010]において、従来のシステムが
抱える課題を解決するため、最適化AIと大規模言語モデル(LLM)の連携を試みま
した。

今回は、そのプロジェクト内容と今後の展望についてご紹介します。


目次

1. 自動献立作成AIと課題

自動献立作成AIは、食材や味付け、調理法、単価、カロリーなどの様々な制約条件を考慮
しながら、予め料理データベースに登録された料理を組み合わせて献立表を自動生成できるシステムです。最大の魅力は、料理データを基に効率的かつ多角的な献立作成を実現できる点にあります。

しかし、実際に自動生成された献立表には制約違反(たとえば特定の食材の連続使用や味付けの重複といった問題)が発生することがあります。これは、登録されている料理データベースの中から選ぶだけでは、全ての制約をクリアできない場合があるからです。これまでは制約違反が発生すると、違反となった箇所の料理を手動で修正する必要がありました。
自動生成された献立表をベースに考えるとはいえ、様々な条件を考慮しながら、制約違反が解消するように料理の修正を行うことは負担の大きな作業となります。



2. 制約違反へのアプローチ

現状では、自動献立作成AIにおいて、前述のような制約違反の解消が課題となっています。
GPTなどの最新LLMと連携できれば、制約違反箇所について各種条件を考慮しながら料理
データベースにはない代替メニューを提案するなど支援することが可能です。これにより、これまで手動で行っていた修正工程について、さらなる負荷軽減を期待することができます。

項目従来フローLLM連携後のフロー
献立作成
最適化AIによる自動生成最適化AIによる自動作成
制約違反箇所の修正
栄養士が関連する制約条件を
考慮しながら手動で修正
LLMが提案した代替メニュー
もとに修正
データベースへの反映
栄養士が手動で登録栄養士確認後、反映を自動化
業務効率
修正負荷が高い修正負荷が軽減、効率向上


3. 課題解決への取り組み

調和技研では、以下の取り組みを検証しています。

▍3-1. 使用可能/不可能リストの作成
 まず、自動献立作成AIの出力から制約違反箇所について、前後数日分の献立内容を分析
 し、以下のリストを作成します。

 ・使用可能リスト(制約違反した日に使って良い食材や味付け、調理法)
 ・使用不可能リスト(制約違反した日に使ってはいけない食材や味付け、調理法)

 GPTに与えるのは使用可能リストのみで良いのではないかと思われるかもしれませんが、
 使用不可能リストを作成して、「明確に」この食材や味付け、調理方法は使わないで
 くださいと念押しすることで、GPTが使用不可能なものを使用することを防ぐ効果が
 あります。


▍3-2. LLMによる代替料理の生成
 作成されたリストをもとに、LLMに代替料理の提案を依頼します。ここでは、一人分の
 単価、エネルギー量、タンパク質、脂質、塩分などの栄養価や料理手順なども参考情報
 として出力することが可能です。
 代替料理と参考情報をもとに献立の修正を行うことで、業務プロセスの効率化が期待
 できます。



▍3-3. 生成した料理を用いたデータベース拡張
 LLMを活用した料理生成は、単なるエラー修正を超え、料理のバリエーションを豊かに
 する可能性があります。生成された料理は、栄養士のチェックを経た上で、既存の料理
 データベースに登録可能であり、これにより、日々の業務の中で生成された新たなメニュ
 ーを次回以降の献立作成に自動的に活用することができます。




まとめ:最適化AI×LLMに期待される新たな可能性

最適化AIとLLMの融合は、従来の献立作成システムに革新をもたらす大きなポテンシャルを秘めています。

制約違反の自動修正と新メニューの生成により、生成された料理は栄養士のチェックを経た上でデータベースに登録され、業務の自動化と効率化が実現可能です。これにより、日々の業務の先にあるデータベース拡張も含め、最終的に現場の負担軽減と質の高い献立作成に
寄与すると考えています。
今後もこの分野の技術開発の進展に注目しつつ、よりスマートな食の未来に向けた取り組みを進めていく必要があります。

皆様も、最適化AIの進化とその応用可能性にぜひ注目していただきたいと思います。


記事を書いた人
小林 佑輔

2013年3月に北海道大学大学院情報科学研究科調和系工学研究室を修士で修了。ビルの入退室管理システム等のSEや開発を経験したのち、2023年4月より、電機メーカーから株式会社調和技研に転職。数値系の分野を担当。