ノウハウ

AI導入の前に知っておくべき基礎知識(前編)――AIのキホンと活用事例

目次

こんにちは!調和技研でお客様企業のAI導入をサポートしている、コンサルティンググループの丸井です。

生産性の向上や新規事業の創出など、様々な目的でAIの導入・活用を目指す企業が増えています。そこで、AIの導入を検討する際にまず知っておいた方がよい基本的な知識を前後編に分けてご紹介したいと思います。

具体的なAI導入プロジェクトの予定がなくても、これからの時代に最低限知っておきたいコトを端的にまとめていますので、ぜひご一読ください。

AIとは?シンプルに解説!

AI(Artificial Intelligence)、すなわち人工知能は、機械が自ら学び、人間のような知能を実現することを目指した技術、あるいは研究分野を指します。「AI」は総称のため、特定の技術やプログラムのことではありません。ショッピングサイトの商品推薦や、スマートフォンの音声アシスタントなど、日常生活の中で私たちは既に多くのAI技術に接しています。

AIはよく、DXなどといった単語と一緒に語られることがあります。

DX(デジタルトランスフォーメーション)はデジタル技術とデジタル・ビジネスモデルを用いて組織を変化させ、業績を改善すること、つまりは人の手で行っていたことを代替すること=作業の自動化を指します。AIはこのDXを実現する手段のひとつです。

AIは与えられたデータをもとに推論を行い、自動でアウトプットする=判定の自動化を担っています。従来、人の手と頭を使い行っていたことまで代替できる、人の判断の支援に活用できるという点がAIの強みと言えます。

AIと通常のプログラムとの違いとは?

では、AIと通常のプログラムでは、どのような点が異なるのでしょうか。

両者の大きな違いは、それぞれが得意とすることにあります。

プログラムでは、人が明確に定義したルールに従って処理を行います。事前にデータを読み込ませる必要が無いため、比較的容易に作成したり、運用に移ることが可能です。

これに対してAIでは、人が明確にルールを定義しなくとも、AI自身がデータから判定することができます。

例えば、「あるSNS投稿の中から楽しそうな文章を取り出したい」という目的があったときに、プログラムでは「楽しい」という文字列が含まれる文章を抽出するよう、人が定義します。一方AIでは、楽しそうな文章とつまらなそうな文章を大量に準備して学習させ、入力された文章がどちらに近いかを推論します。この場合、文章中に直接「楽しい」という文言が入っていなくても、例えば「あの映画、すごく良かった!」といった文章も「楽しそうな文章」として取り出すことができます。

このように、多くの場合でAIの方が柔軟に推論することができます。AI推論のもととなるデータの収集と管理には労力が必要となりますが、このデータの整備がAIの性能を向上させる上で欠かせないものになります。

AI導入におけるデータの重要性

AIは、与えられた学習データに基づいて確率的・統計的判定を行います。もとになる学習データが無いと使うことができず、また学習データに含まれないことは判定できません。

学習データの量が不足していれば、意図したものとは違うモデルになってしまう可能性があるため、十分な質・量のデータを用意する必要があります。

また、作成したいAIの難易度によって必要な学習データ量は変わります。推論させたい結果が複雑であればより多くのデータが必要となり、反対に求める結果がシンプルであれば必要なデータ量は少なく済みます。

どのようなデータがどのくらい必要となるかについては、AIエンジニアとよくすり合わせることが重要です。

AIにできること

AIが対応可能な作業の切り口は、対象とするデータや使用する手法、モデルの学習方法など様々な考え方で分けられます。

調和技研では対象とするデータ別に、AIを以下の3つのカテゴリに分けています。

  1. 画像:写真や動画、絵など
  2. 言語:自然言語で記述されたドキュメント、ニュースやブログ、SNSなどのテキスト
  3. 数値:商品の価格や株価、顧客数、気温など数値で表すことのできるデータ

上記3つのAIカテゴリでは、対象とするデータ別に、対応可能な作業も以下のように異なります。

  1. 画像:画像に写っているのものが、正常か異常かを判定する(異常検知)、画像に写っているものが何かを判定する(画像分類)、想定しているものが、画像のどこに写っているかを判定する(物体検出)
  2. 言語:テキスト分析(感情分析、過去の類似事例の検索など)、テキスト入力・資料作成のサポート
  3. 数値:予め設定した制約の中で最適な組み合わせを算出する(最適化)、過去実績データをもとに将来の需要・売上高等を予測する(予測、推薦)

業務の現場で十分活用可能なAI開発のためには、どのようなデータを用意できるのかと併せ、AIでどのような機能を実現したいのか、AI導入でどのような効果を期待するのか検討が必要となります。AIコンサルタントやAIエンジニアとディスカッションの上、関係者全員の認識を合わせておくことがAI導入成功のカギとなります。

AIのビジネスでの活用例

企業におけるAIの導入は、効率的な業務遂行や、新しい価値の提供に大きく寄与しています。以下にいくつか例を挙げてご説明します。

製造業における品質判定・異常検知の自動化(画像)

従来は現場担当者が目視判定していた商品の品質不良(製造ライン上で発生する商品のキズ・破損・打痕等)判定をAIを用いて自動化します。一度に複数の対象物を判定することもでき、製造ラインと機械連携も可能。作業時間50%削減の事例もあります。

文章の分類・分析(言語)

大量に存在するカスタマーレビューやメール等の文章をもとに、要約を行う、クレーム内容の仕分けをする、過去の問合せの中から類似する文章を検索し、顧客からの問合せ対応に活用するなど、様々な場面で業務を効率化することができます。

シフト・配送経路・献立作成の最適化(数値)

従来、現場担当者の手作業で行っていたシフト調整や配送経路の計画、献立作成などを自動化します。シフトであれば従業員の休暇希望、保有資格や法律、配送経路の場合は交通規制や車両の積載量、献立作成では食材、原料費、アレルギー対応など、固有の条件を考慮した結果を作成し、業務効率化に役立てられます。

過去実績データを基にした将来の需要・売上予測(数値)

売上、顧客数、購入時間帯などの過去実績データを用意し、AIを用いて需要予測や売上・来店客数予測などを自動化します。例えば小売業では、商品の発注業務の効率化や、従業員のシフト管理に活用が可能です。

以上でご紹介した例は代表的なものですが、上記のように従来は人の手や目検で行っていた業務をAIで代替することにより、対象業務にかかる作業時間の大幅カットや効率化が実現できます。

AI導入に関するお困りごとは調和技研へ

今回はAIを導入する際に必要となる前提知識について、概要をご紹介しました。

実際に業務へのAI導入を進めるにあたっては、データの収集や実現したい成果の設定に始まり、要件定義、AIエンジンの試作など検討すべきことが多くあります。

調和技研ではAI導入検討の段階から伴走し、AIの導入成果を最大化できるようサポートしています。

AIを使いたいが、何から始めたらよいかわからない、自社の状況に合わせたより詳細な話を聞きたい、などAI導入に関する課題をお持ちでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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後編では、AIを導入する際の具体的なステップについてご紹介します。お楽しみに!

記事を書いた人
丸井 彩加

AI導入コンサル、セミナー実施や、AI研究開発のプロジェクト管理業務に従事。教育事業会社でのコンテンツ作成・運営、製造業での需要予測・需給調整経験などを経て2022年調和技研に入社。今思えば需給調整はAIを導入すれば即解決(?)だったかもしれない。リモートワークの良さを享受しつつも、運動不足が目下の課題です。