【開催レポート】札幌AI道場の成果発表会を行いました!

z2022年8月に開設し、課題提供企業と開発企業・個人のマッチングに始まり、課題解決型AI人材育成と実証を同時に行うプログラムとして活動をしてきました。

その中で、調和技研では本プログラムの運営を担当してまいりました。 

御応募頂いた現役のITエンジニアの中から18名が選定され、3チームに分けて活動を実施。 

課題提供企業様からご提供いただいたビジネス上の実課題を元に、PoC(概念実証)に向けたPBL(課題解決型学習)を行ってきました。

本成果発表会では、各チームでの取組の発表を行い、課題提供企業様にも過剰にお越しいただき、コメントなどいただきました。 

※開催概要はこちらでご覧いただけます。



成果発表会当日の2月7日、札幌は例年通りの雪に覆われ、冬景色の真っただ中。

成果発表会の会場は中央区にある「IKEUCHI LAB」。 

多くの聴講者と共に、札幌市副市長さま、課題提供企業さま、成果発表をする3チームの面々と、取材陣の方々が集まっていました。 

成果発表をするチームの面々は思い思いの表情を浮かべながらも、発表の時を待っています。

17時。成果発表会開催に先立ち、札幌市副市長 石川 敏也さまから開催のご挨拶をいただきました。

挨拶の中では、成果発表会の開催に際して、参加企業、課題提供企業、運営担当企業へのお礼とともに、参加者には「札幌AI道場での経験を企業へ持ち帰って、自社でAI開発を進めることを期待している」とのお言葉をいただきました。 


第1部前半:札幌AI道場 成果発表

続いて成果発表。3チームそれぞれが別々のテーマに取り組み、AIによる課題解決に取り組んできました。 

チーム①:栄愛館 

課題提供企業:株式会社テンフードサービス 
テーマ:チルド食品製造ラインの不良品検出 

チルドぎょうざの製造ラインにおける不良品検出をテーマとして発表。トレーに並んだぎょうざの型崩れ等をチェックするAIを安価なAndoroid端末で動作するよう開発するという提案でした。株式会社テンフードサービスの代表取締役 西田さまからも、このような製品の不良検知は他の多くの産業でも利用可能なのではないかという期待が示されました。 

チーム②:Bb

課題提供企業:株式会社近海食品 
テーマ:昆布の異物混入防止の機械化 

「丸とろろ」という製品の不良品除去についての発表。ベルトコンベアで流れてくる丸とろろをチェックし、成形不良や昆布片が混入した製品を除去するシステムの開発についてでした。 

庄内師範からは今回学んだAIを開発するうえでの忍耐力や広い視野を持ち続けて欲しいとのアドバイスを、株式会社近海食品の工場長早川さまからは実際の導入に向けた前向きな講評をいただきました。

チーム③:NiCe

課題提供企業:株式会社北翔 
テーマ: 商品パーツの入庫、出荷作業の省力化 

商品の入出荷数の増加に対応し効率化するための、車のパーツの寸法測定自動化について提案。商品の写真からサイズを自動的に測定するシステムの開発を発表しました。石岡師範からは、よくある課題とは異なり、そもそもの課題定義や解決策の検討が必要であったにも関わらずしっかりと成果に繋げられたことがPBLとしてよい取組みとなったと講評されました。また、株式会社北翔の代表取締役 清水さまからは、自動車業界においてもAIを導入して業務を簡素化させていくことは大切な課題であり、今回の取組みに感謝しているとの言葉をいただきました。 


いずれのチームも各企業様の課題にしっかりと向き合い、AIを活かした解決提案をされていたと感じました。

実課題におけるAI活用においては、やはり現場の理解が重要になります。 

3チームの皆様、本当にお疲れさまでした。 


第1部後半:クロストーク「札幌における企業連携の新たな形」 

第1部後半では、札幌AI道場の最高師範である川村先生と総師範の中村と共に、モデレーターとして、一般社団法人日本ディープラーニング協会 事務局長の岡田 隆太朗さまをお招きしてクロストークを開催しました。 

■一般社団法人日本ディープラーニング協会 事務局長 岡田さま 

日本ディープラーニング協会も産業実装を目指しているが、これほど実現できているプロジェクトは少ない。札幌AI道場では、スタート時にはAIがわからなかった方々が、半年後には、開発を行ってプログラムができて、発表までしている。また、課題提供企業が現場見学やデータ提供などの協力をして頂いていることも素晴らしい。札幌だけではなく、全国的にも広がってほしい事業だと思っている。 

■札幌AI道場 川村最高師範 

AIのモノづくりは、これまでのITによるものとは全く違う。AI道場のケースをみても、出来るかどうかわからないという中で、モノづくりをする難しさへの理解、そんなチャレンジを許すというマインドに変わっていくことが今後も大切だと思っています。 

また、今後北海道の様々な業界に向けて、人手不足などの課題を解決できる将来性も感じました。 

■札幌AI道場 中村総師範 

今回のAI道場では、門下生の方々も大変だったと思うが、現場でさまざまな問題に直面するなど、リアルに体験して頂いたことが良い経験になったと思っています。実際に導入するレベルまで到達出来たというのは、課題提供企業の方々にとっても良いモデルになった。行政の方々が一緒に取り組んで頂いたことで実現出来たと心から感謝しています。 

なお、川村最高師範は、調和技研の社外取締役として技術指導もしていただいております。 


そして第1部の最後には、川村最高師範から閉会の挨拶と総評をいただきました。 


最初に川村最高師範から、課題提供企業、エンジニア、師範、札幌市、産業振興財団など関係者へのお礼がありました。 

また、昨年流行した画像生成AI、ChatGPTなどのAIも、公表されたことで利用が進み発展した事に触れ、札幌AI道場でも情報を共有してアップデートすることが成長につながるとの総評をいただきました。 

ここまでで無事に第1部は終了。皆さん大変お疲れさまでした。 

続いて第2部の交流会に入りました。 


交流会では、無事に発表を終えて晴れ晴れした表情の各3チームの皆様が特に印象的でしたが、課題提供企業様との交流のみならず、聴講参加者の方もご参加され、非常ににぎわっていました。 

こういった札幌でのAI関係者コミュニティを大事にしつつ、より拡大し、その結果としてAI人材の育成とAIの社会実装を目指していければと考えています。

今回は札幌AI道場初回ということもあり、運営企業である調和技研としても沢山の改善点があると感じています。 

次回以降の開催は未定ですが、今回の反省を生かし、より良い活動を目指していければと考えています。 


札幌AI道場 総師範 及び 調和技研代表取締役社長 中村拓哉のコメント

札幌市では「札幌AIラボ」などAIを学ぶ機会はたくさんありました。だた、どうしても座学となってしまい、なかなか実際に現場を訪れたり、生のデータを扱ったり、ということは出来ていませんでした。 

そんな状況に対し、AIを学びたい門下生が地元企業の業務課題を実際に解決していく道場のようなコンセプトのもと、PBL学習としてスタートしたのが本事業です。 

本事業を進めていく中では、大変なことも数多くありました。門下生の方々は、本来の業務の後や休日を使って対応して頂きました。やればやるほど課題も増えて、大変な取り組みだったと思います。それでも 一人の脱落もなく、成果発表の日を迎えることが出来ました。日本で初めての取り組みということもあり、運営事務局としても課題は数多くありましたが、門下生、課題提供企業の皆さま、札幌市の方々等、関わられた全ての人たちのおかげで、産官学という形で実を結ぶことが出来たと感じております。 

「札幌AI道場」は人材育成の場ではありますが、今回提案された内容は、改善の余地はあるものの、かなり精度の高いものとなっており、PoC段階でも良いと思われるものも見られました。 

仕事としていつの日か実を結んで、参加企業が持ち帰ることが出来るようになっていければ、AIの集積地として、国内だけでなく海外からも仕事を頂けるようなスキームが作れるのではないかとも考えています。まずは最初の一歩ではありますが、地域のネットワークや連携でしっかりとしたビジネスを生み出す仕組みを作り、来年以降に向けても、門下生、課題提供企業にどんどん参加していただきたいと考えております。