輪郭のない技術・企業価値を、見える形に変える 〜AI開発企業のウェブサイトリニューアルの舞台裏〜

株式会社調和技研 編集部

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株式会社調和技研 編集部

(Chowa Giken Editorial Department)

調和技研に関する情報や様々な記事を発信する編集部です。

2026年1月30日、株式会社調和技研のウェブサイトは大きくリニューアルされました。約2年での転換となった今回は当社にとって大きな意義を持つものであり、これからの調和技研の大きな成長加速を支える第一歩となります。今回は、制作に携わった事業推進Gマネージャーの武藤さん、ディレクション責任者の皆川さん、制作を担当した株式会社Headsの皆さんにお話を伺いました。

(左から)株式会社Heads 杉本社長、山下さん、小黒さん

どうして今、このタイミングでのリニューアルだったのか

編集部:「はじめに、今回のリニューアル判断に至った経緯を教えて下さい」

武藤: 
シンプルな答えになっちゃいますが、調和技研の今後数年の成長を支える土台づくりをしたいと考えてリニューアルを実行するに至りました。実は入社したタイミングからいつか改善をしたいというふうに考えていたのですが、なかなか準備や段取りが整わず、このタイミングとなりました。 

株式会社調和技研 武藤さん

編集部:「今回は前回のリニューアルから、比較的短い期間での刷新でしたね。従来の仕組みの中で対応することは難しかったのでしょうか。」

武藤: 
そうですね。従来の仕組みも、多くのメンバーにとっては親和性があり編集のしやすさがありました。しかしながらシステムの思想が保守寄りで現状維持の仕組みになっていました。私としては昨今のAIトレンドに合わせた攻めの姿勢で運用をしたかったのですが、どうしても物足りなさを感じるようになってしまって・・・。 
あとは当社が大きく成長してきたことも影響しています。従来は大学発AIベンチャーでAIの受託をしているという印象でしたが、デザイン観点でもこのイメージを払拭していく必要がありました。 
この両方の課題をクリアするにはコストが掛かりすぎてしまうため、より柔軟な仕組みを目指して根本的に見直すことを決めました。

編集部:「なるほど、従来の仕組みやデザインの限界を感じていたんですね。それはどんなところにあったんでしょうか。素人目にはあまり変えたことでどんな顧客の変化があるかイメージがつかないのですが。」

皆川: 
従来のデザインだと、「AI開発をしている会社」というより「AIを使ったシステムを売っている会社」に見えるという誤認識が起きたり、事業内容を誤解なく魅力的に見せる視点が不足していました。
当社の価値を訪問ユーザーへ正確に伝えることができない弊害をなくすため、顧客が知りたいことを掲載し、情報や魅力が見えやすいデザインにすることで「この会社は信頼できる」と印象づけることができるようになります。他と比べた時に見栄えが良いことも顧客が選択する十分な理由となります。さらに適切な導線を引くことで、問い合わせしやすいウェブサイトにすることができました。 

武藤: 
少しだけ補足しておくと、仕組みを変えることでより柔軟な取り組みができるようになりました。例えば、私たちはこの1年でAI活用や推進のための研修やコンサルティングの取り組みを拡大していて、本来であればそれを迅速に発信したいものです。しかし従来の仕組みの中で表現していくには速度感が合わず、時間もコストも掛かりすぎてしまうボトルネックがあったので、この速度感は大幅改善されました。顧客目線で言えば、AIに関する最新トレンドを当社のサイトで得やすくなったということですね。 
あとは今回は取り組みませんでしたが、私たちのプロダクトキャラクターであるAIWEO(アイウェオ)をウェブサイト上に反映して、新しいAI体験を提供するということも可能となりました。様々な場所でAIの活用可能性を考える企業えですので、初めてウェブサイトに来た訪問者に対して、AIエージェントであるAIWEOがおもてなしをして、情報の案内をするような姿なんかも今後対応していきたいと考えています。 

編集部:「お二人ともありがとうございます。まとめますと、調和技研が今後大きく成長するための土台となる原動力を得るためには顧客からの印象を変えていく必要があり、根本的な設計思想部分から変えていく必要があった、ということなんですね。せっかくなので、この点についても制作を担当されたHeadsさんにもお話を聞いてみましょう」 


輪郭のないものを、デザインする

編集部:「それではここからは、株式会社Headsさんにもお話を伺いましょう。代表の杉本さんは、武藤さんの昔からのお知り合いだと聞きました。今回はAIという先端的なテーマの制作でしたが、ご相談をもらったときにどのように感じましたか?」 

株式会社Heads 杉本社長

杉本: 
まず、率直に嬉しかったですね。声をかけて頂けて。 
我々を思い出してくれたのもそうですが、AIというともっと“テックっぽいもの”をつくる会社にオーダーしてもいいところ、うちに声をかけてくれたのがとても嬉しかったです。 
と同時に、うちに声をかけてくれたということは、“テックっぽいもの”を求めてるわけではないんだろうな、ということも感じとりました。武藤さんの話を聞くと、むしろその“AI=テック”みたいな考え方をぶっ壊す気でいらっしゃったので、楽しみでもありましたし、少し怖さもありましたね。 
ただ、武藤さんも皆川さんも、“一緒に作る”という点を強調してくれたので助かりました。オーダーして終わりというよりは、お二人も制作に深く関わってくれました。その点は制作の初期からの安心材料でした。 

編集部:「ありがとうございます。チームとして一緒に作る姿勢は、良いものが作れるような良い空気を生みますよね。それでは制作ディレクションを担当した山下さん、デザインを担当した小黒さんにそれぞれお話を聞いてみたいと思います。いかがでしょう。」 

株式会社Heads 山下さん

山下: 
ディレクションを担当した山下です! 
今回は武藤さんと弊社杉本の長いお付き合いがきっかけということもあり、正直なところ『絶対に失敗はできないぞ…』と相当なプレッシャーを感じながらのスタートでした(笑) 
プロジェクト初期の打ち合わせでは、お恥ずかしながら『AI…?』という状態で、飛び交う専門用語に食らいつくのが精一杯でした。まずは調和技研さんの事業を深く理解しなければと、必死に会社資料を読み漁ったことを覚えています。そんな中、武藤さんや皆川さんが『難しいですよね』と嫌な顔一つせず、いつも丁寧に噛み砕いて教えてくださったのが本当に心強く、助けられました。 
制作過程では、私たちがイメージする『AIの表現』と、プロフェッショナルである調和技研さんが求める表現に乖離がないか、毎回のMTGでビクビクしていましたね。特に小黒がデザイン説明をしている時間は、私が一番ドキドキしていたかもしれません(笑) 
それでも、常に的確で前向きなフィードバックをいただけたおかげで、最終的には迷いなく進めることができました!

株式会社Heads 小黒さん

小黒: 
デザインを担当させていただきました、小黒です。 
一言で言えば、今回は非常に学びの多いプロジェクトでした。 本プロジェクトは、山下と私の2名が主体となって進行した初めての案件でもありました。お互いの足りない部分を補い合いながら、「ご依頼いただいたもの以上の価値をどう生み出せるか」を日々話し合い、試行錯誤を重ねてきました。 
AIという形のないものをどのように具現化すれば伝わるのか。調和技研さんの企業文化をどのように表現すれば、サイトを訪れた方に正しく届けられるのか。これまでのWebサイトや記事、資料を読み込み、さらにお二方に直接お話を伺いながら、少しずつ形にしていきました。 
山下もお伝えしている通り、武藤さん、皆川さんが丁寧に考えや想いを言語化してくださったことが、本プロジェクトを前進させる大きな支えになりました。 
改めまして、この度は本当にありがとうございました。  

編集部:「お二人ともありがとうございます。これからどんどん伸びていくお二人の世代にとって、良い刺激となるご経験になったように感じました。今回はデザインから全面リニューアルでしたが、小黒さんの中でここはこだわった!というところはありますか?」 

小黒: 
先ほども少し触れましたが、「AI」という形のないものをどのように具現化するかには特にこだわりました。 サイト全体で見られる歪んだ円やブラーのかかった円、TOPページ背景で縦横無尽に動きながら薄くなったり濃くなったりするシンボルなどを通して、「正しく使えばどのような形にも変化するAIそのもの」を表現しています。 
また、AIWEOのキャラクターの扱い方にも力を入れました。 AIという分野は、知識のない方からするとどうしても専門的で難しそうな印象を持たれがちです。そこで、親しみやすいAIWEOのキャラクターをサイト全体のさまざまな場面に登場させることで、そのハードルを少しでも下げられればと考えました。 中でも、404ページでのAIWEOの使い方には特にこだわっています。 意図してアクセスできるページではありませんが、もし出会えたら楽しんでいただけると思います。 

試行錯誤したTOPページデザインのひとつ
404エラーページはどんなデザインなのでしょうか

皆川:  
かなり抽象的なイメージの伝え方をしたにも関わらず、こちらが逆に「たしかに」と納得するようなTOPページにしていただいたと思います。AIWEOは私が生み出したキャラクターなので、あちこちにいることはもちろん、404ページでも遊び心ある作り方をしていただいてすごく満足しています(笑) 

株式会社調和技研 皆川さん

編集部:「Headsの皆さん、皆川さん、ありがとうございます。皆さんのお話にもありましたが、AIがどんなものかどんな形かという輪郭が社会にまだ醸成されていない中でデザインしていくことの難しさ、そしてその必要性を私も感じました。」 


人間とAIが調和する社会における、AIの在り方を模索する

編集部:「ここでまた武藤さんと皆川さんにお話を伺ってみましょう。今回の制作において企画側としてこだわったポイントはありますか?」 

武藤: 
調和技研という企業の目指す社会像との繋がりを意識しました。AIと聞くとどうしても技術起点で距離を感じてしまいがちですが、私たちは社会の中にAIを浸透させていくことを目指しているので、一般的なテクノロジー企業とは違うデザイン表現を追求しました。 
また細かなところですが、AIは多くの場合、脳とかロボットのアイコンで描かれたりしますよね。でも、本当にAIは脳とかロボットなのでしょうか。私たちはそんな意識への疑問符の投げかけとして別の表現を考えたり、AIWEOを生み出したりして、未来の本当にあるべきAIの在り方を模索しています。答えはないですが。 
ただ、少なくとも人間というソフトな存在と融和できる存在はきっと、やわらかな存在だと思ったんですよね。だから、AIWEOも、今回のデザインの方向性も柔らかな雰囲気を徹底して演出してきました。これはAIというテクノロジーの要素とは矛盾しているのですが、そこに今の社会のギャップがあるとも捉えています 

皆川: 
AIは人から仕事を奪うものというネガティブな印象を持つ人は多く、また難しい印象から、想像されるイメージも先行されたSF感が強い傾向にあります。私は当社の目指す未来は「AI イメージ」で検索して出てくるようなものではないと考えているので、デザインから「この会社はAIベンチャーだけど他と何か違うぞ」という印象を全面に打ち出すことを目指しましたね。 
人とAIとの調和とは、AIに隷属するような関係性ではなく、並走するパートナーのような関係だと思っています。AIはシステマチックに言うとツールですが、私たちはツールが人と敵対するものではなく寄り添ってくれるものとして、言語を介さないデザインでそれをどう伝えるのかを約1年半ずっと考えていました。 
AIの中身はシステムなので硬いものですが、表面は色々なツールやサービス、モデルがあるように非常に多面的かつ柔軟です。AIを人や社会とつながれるようなイメージにするなら、「生命感」という擬似的な演出はとても人とつながりやすいのではないかと思い至り、サイトデザインはAIが内側に持つ硬さと、生命を感じるような曲線や無形感のデザインにこだわりました。

編集部:「ありがとうございます。それではHeadsさんにも、当社と仕事をしてみて気づいたことや感じたことを伺ってみましょう。」 


調和技研のウェブサイトを制作して良かったと思うこと

杉本: 
改めてAIを2つの側面から見ることができたのはとても良かったです。 
調和技研の研究者さんやエンジニアさんが長年かけて作り上げて来たAIも、最後はAIのことを全く知らないユーザーが簡単に使えなければいけません。そこに、市場への窓口である武藤さんや皆川さん、そしてウェブサイトが大きく関わるんだな、と思わされました。 
私たちHeadsも少なからずITを活用しています。ウェブサイト制作もSNSの運用も、技術と窓口のバランスをしっかりとっていきたいと改めて学ぶことができて本当に良かったです。

山下: 
1番は、調和技研さんの目指す未来を一緒に形にできたことです! 
最初はAIのことなんて全然わからなくて必死でしたが、武藤さんや皆川さんとお話しするうちに、難しい技術を身近に感じられるようになり、私自身もワクワクしながら進めることができました。 そんな御社の熱い想いをしっかりデザインに落とし込めて、無事に公開できたことは、ディレクターとして本当に達成感がありましたし、何より本当に楽しかったです! 貴重な経験をさせていただきありがとうございました! 

小黒: 
改めまして、この度はお声がけいただき誠にありがとうございました。 
これからの「AIと共創していく社会」を創り上げていく調和技研さんのWebサイト制作に携わることができ、大変光栄に思っております。 私自身、AIを活用することで業務の効率化が進み、その分デザインに向き合う時間をより多く確保できるようになりました。弊社内でもAI活用をさらに広げていきたいなと考えているのでその際はぜひ、調和技研さんにセミナーをお願いできたらなと思います! 

編集部:「最後に武藤さんと皆川さん、今後のウェブサイトの利活用について教えてください。」 

皆川: 
今までは事業を並べて待つ姿勢のウェブサイトでしたが、今回のリニューアルで攻める姿勢を取りやすい構造になりました。従来の事業に加えて、新たにプロダクトソリューション事業を追加し、調和技研という会社の魅力や特長をさらに多くの方々に伝えていけると考えています。 
また、新たに創設した「Chowa Future Studio」は、調和技研の「調和」と「技研」に対する内側の取り組みを発信する未来コンテンツです。ここでは当社の強みであるビジネス知見と研究知見の両軸それぞれの考え方を見せる情報誌や、社内で取り組んでいる様々なAI技術のプロトタイプとデモ動画を公開しています。今までも社内で「技研」としての取り組みを行なっていましたが、ブログコンテンツのみで発信していたため、技術の可能性や面白さを社会に向かって伝えるにはコンテンツが不十分だったと思います。ですので、この「Chowa Future Studio」から調和技研の中に詰まっている思想、考え方、様々な技術をたくさんの方に見ていただくために、これからどんどん魅力的なコンテンツの拡充に取り組んでいきたいと考えています。 
それとAIWEOは、デザイン起点にした当社初のプロダクトとしてブランディングを徹底しています。そのAIWEOキャラクターたちがサイトのあちこちに登場するようになったので、訪れる人たちに愛されるようなプロダクトになるよう緒を締めつつ、遊び心がある演出や機能を盛り込めたらなと考えています。 
ついでにAIWEOを見て「自分もこんなものを作ってみたい、世の中に広めたい!」と思ってくれる仲間が増えると嬉しいですね(笑)

武藤:
少し抽象的な話になるのですが、AIというトレンドの先端を走っている企業の1社として、未来の社会の在り方とその中での技術についてイメージを伝えていかなければいけないという使命感を持っています。「AIという輪郭のない存在と人間が向き合うにはどうすればいいのか」、「人間の可能性を拡張していくAIの使い方をどのように伝えていけばいいのか」、「AIが社会的悪にならないように、どんなことを考える必要があるのか」など、答えのないテーマはとにかくたくさんあります。しかし、これらは誰かが考えて描いていかないことには社会は前進することはありません。もちろん1人でできることでも1社でできることでもないですが、小さくとも表現をして発信するところから全ては始まるはずです。 
AIという存在の輪郭がどんなものなのか。私にも答えはないのですが、人間社会におけるAI技術と未来について様々な人が考えを巡らせる、そんなオンライン空間を目指して公式サイトを育てていきたいですね。私自身も現役の社会人大学院生として企業組織でのAIエージェント活用の在り方を研究している身ですので、そういった社会科学的な目線での発信にも、今後に取り組んでいきたいなと考えています。 

編集部:「皆さま、今日は貴重なお話をしていただきありがとうございました!」 

株式会社Headsさんの素敵なウェブサイトはこちらです。
https://heads-corporate.com/